いびき

 

cc232 いびきは睡眠中に弛緩した軟口蓋が振動し、咽頭が狭くなり、発生する異常な呼吸音です。大人顔負けの大きないびきをかく子供もいます。持続しないいびきは問題ありませんが、いびきが持続し、呼吸をしない(無呼吸)症状を伴うか否かにより早急な処置を必要か否かが決まってきます。いろいろな原因でいびきが生じます。生まれて間も無い赤ちゃんで生まれつき下顎の発達の悪い為に舌が後退し、特に睡眠時に舌の付け根の落ち込み(舌根沈下)が起こるといびきをかき、呼吸ができにくくなります。このような子供たちには歯がまだ生えていない場合には舌を前方に出し、固定し、舌根沈下を起こさないように手術をします(舌固定手術)。しかし歯が生えてくるとこの手術はできませんので睡眠中、側臥位で睡眠させる。または鼻からチューブ(エアーウェイ)を挿入し、呼吸状態の改善をはかります。幼児期のいびきでは扁桃腺肥大とアデノイド増殖症が問題になります。アデノイド、扁桃腺が大きいと鼻がつまりやすいので、口を開け口呼吸し、いびきをかきやすくなります。夜間眠りが浅く、夜尿症の一つの原因となり、昼間でも嗜眠傾向を生じ、注意力が散漫になります。また胸郭の変形(鳩胸)も伴うこともあります。時には睡眠時に無呼吸症状が出現し、いびきをかかないで呼吸をしていない現象が見られます。無呼吸の時間が長くなりますと心臓の機能や肺機能に負担がかかりますので、このような子どもさんには睡眠時の呼吸状態をモニターする簡単な器械を装着し、無呼吸の持続時間と回数とにより睡眠時無呼吸症状の治療装置CPAP(シーパップ)の装着や扁桃腺の摘出術、アデノイド切除術の適応を決めております。私たちの病院では全身麻酔下に扁桃摘出術、アデノイド切除術を行い、約5日間の入院治療を行っています。またいびきをかく子供たちの多くに肥満傾向が認められますので手術後にも、栄養指導も行う必要があります。

(特別寄稿 佐野光仁)

 

 みみ・はな・のど   投稿日:2006/09/01