ワクチンの区分

 

ワクチンにはいろいろな区分の仕方があります。「生ワクチン」、「不活化ワクチン」、「メッセンジャーRNAワクチン」、「定期接種」、「任意接種」、「臨時接種」などです。

 

「生ワクチン」とは、病気の原因となるウイルスやばい菌などの病原体の毒性を、病気が起こらない程度に弱めたものです。その病気に軽くかかったような状態になるので、自然にかかるのと同じような免疫をつけることができます。通常は1回接種ですが、予防する病気によっては2回以上の接種が必要なものもあります。ロタウイルス、BCG、MR(麻しん・風しん)、水痘、おたふくかぜなどが「生ワクチン」です。

 

「不活化ワクチン」とは、免疫をつける力は残しつつ、病原体の毒性を完全になくしてしまったものです。複数回の接種が必要ですが、その病気にかかったような状態にはなりませんので、より安全に免疫をつけることができます。B型肝炎、ヒブ、小児用肺炎球菌、四種混合(百日せき・ジフテリア・破傷風・ポリオ)、日本脳炎、インフルエンザ、ヒトパピローマウイルス(子宮頸がん予防)、髄膜炎菌などが「不活化ワクチン」です。

 

「メッセンジャーRNAワクチン」とは、新型コロナワクチンで知られるようになりましたが、1980年代後半から研究されてきた方法によるワクチンです。「不活化ワクチン」と似ていますが、病原体の一部を使うのではなく、それを作る設計図(これがメッセンジャーRNAです)を使います。新しい感染症に対応できるという点でとても有益で安全なワクチンです。

 

「定期接種」とは、予防接種法という法律で接種について決められているものです。多くは市町村から接種の連絡がきて、たいていは公費(無料)で受けられます。ただし、市町村に実施する責任があるので、かかりつけの小児科のある場所が住んでいる市町村と違うと、公費で受けられないこともあります。
ロタウイルス、ヒブ、小児用肺炎球菌、四種混合、B型肝炎、BCG、MR、水痘、日本脳炎、二種混合(ジフテリア・破傷風)、ヒトパピローマウイルスが「定期接種」です。

 

「任意接種」とは、予防接種法での取り決めのないものです。
「任意」という名前ですが、病気の重さには「定期接種」、「任意接種」で違いはありません。むしろ、子どもにとって必要な予防接種なのに「任意接種」のままになっているものも少なくありません。たいていは全額有料ですが、一部は公費(無料や一部負担)で受けられるものもあります。
おたふくかぜ、A型肝炎、髄膜炎菌などが「任意接種」です。

 

「臨時接種」とは、新しく起こった感染症の流行を抑えるなどを目的に緊急に実施されるものです。予防接種法にもとづく予防接種であり、新型コロナワクチンはこれに当たります。

 

 予防接種   投稿日:2022/02/01