くせになっている便秘

 

cc243 おなかがはって苦しい、おなかが痛い等々、子どものおなかの症状には、親はどきっとさせられます。それは診察している小児科医も同じです。「腸重積だったらどうしよう」とか、「腹膜炎だったらどうしよう」とか。そんなときうんちがでて、子どもが「すっきりしたー」と言ってくれたら、ほっとします。いわゆる便秘で腹部症状(腹痛、嘔吐、おなかがはるなど)がでる場合がほとんどなのです。

 子どもの便秘には浣腸、これが定番です。市販薬でも浣腸はありますが、病院でもらう浣腸薬は量も多く、よく効きます。「浣腸はくせになる。」と心配される方もいますが、これは全く逆で「くせになっている便秘(いわゆる慢性便秘)には、浣腸が定期的に必要」という事なのです。浣腸は腹部の病気には「特効薬」なのです。

 便秘には、体調の悪い時だけなど一時的になる「良性一過性便秘」と、いつも便秘で下剤や浣腸を常に必要とする「慢性便秘」があります。良性一過性便秘は、治療しなくてもよくなりますし、お腹がはってきついときは浣腸してあげれば、元に戻ります。慢性便秘は定期的に病院で治療を受けることが必要です。でないと大腸は、たまったうんちで拡張して疲弊してしまい、うんちを押し出す腸の運動ができなくなってしまいます。こうなると悪循環です。「いつも自力ではうんちがでてないな」と思ったら、一度小児科医の診察を受けましょう。

 乳幼児の慢性便秘は、男の子に多いでしょうか、女の子に多いでしょうか? 答えは、男の子と女の子と同じくらいの割合です。大人の便秘は女性に多いのですが、これは女性は赤ちゃんを産むため、大腸の固定が男性より緩くなっていて、うんちをためやすい条件が整っているためと言われています。

 たかが便秘、されど便秘です。便秘はがまんして、いいことは何一つありません。「便秘くらいで病院にかかるなんて!」と思わず、慢性便秘は小児科医の診察を受けましょう。

(藤井喜充)

 

 消化器   投稿日:2006/09/01