子どものけいれん(学童期)

 

cc227 今回は学童期のけいれんについてお話したいと思います。学童期では、熱を伴わないけいれんがほとんどで、「てんかん」が圧倒的に多くを占めています。そのほかの原因は脳炎・脳血管障害・脳腫瘍・脳変性疾患・ヒステリーなどの心因疾患・循環器疾患に伴うけいれん・中毒などがみられます。

 てんかんは脳の中の膨大な神経細胞に突然電気的な興奮が起こり、雷が発生するように発作が起こる病気です。日本ではおよそ100人に1人くらいの割合で患者さんがおられます。小児期の発病が多く、18歳以前に80%が発病するといわれています。また、発作のコントロールが可能で、一部は成人までに薬を中止できる方もおられます。

 学童期に発症するてんかんの代表的なものに「小児欠神てんかん」といわれるものがあります。これは、欠神発作が主な発作で、突然意識がなくなり、はっきりしない状態で動作が止まり、また、突然もとに戻る発作です。大体5~20秒ぐらいの持続時間で、日に数回またはそれ以上おこす方がおられます。この発作は過呼吸で誘発されるので、シャボン玉を吹いている時や、笛を練習している時に気づかれることがあります。また、「中心・側頭部に棘波をもつ良性小児部分てんかん」は良性の特発性部分てんかんの代表的なもので、寝がけや起きがけに片方の口や目の周りや舌がピクピクしたり、同じ部位のしびれなどの感覚異常や、よだれが出たりします。この後意識がなくなり、手足のけいれんに拡がることもあります。このてんかんは経過が良好で中学生くらいには発作もなくなり、脳波もよくなります。このようにてんかんといっても千差万別です。いろいろなけいれんがありますから、十分な観察や検査が重要です。てんかんの発作に似ている偽発作もいろいろあります。脳虚血による失神、心因反応による発作、不随運動(しらない間に体の一部が動いてしまう運動、チックなども含まれます)の鑑別も重要です。けいれんはご家族しか見ておられないことも多く、けいれんの様子や一緒に起こってくるさまざまの症状を観察して、気づいたことを医師に伝えることで、診断の手助けや、適切な治療の選択に役立つことになります。

(今北優子)

 

 脳神経・くび   投稿日:2006/09/01