アトピー性皮膚炎 ステロイド外用薬の使い方

 

cc217 アトピー性皮膚炎は、かゆい湿疹が続く病気です。皮膚に、赤くて、かゆくて、ぶつぶつ、じくじく、かさかさがある部分、これが炎症といって、免疫細胞がかゆみ物質を出している、病気の部分なのです。ここにステロイド外用薬を塗るのが治療ですが、何を、どこに、どのくらい、いつまで塗るかが大切です。

  1. 何を
    ステロイド外用薬には強さのランクがあるので、湿疹や炎症の程度に応じて効く薬が違います。強さには、Strongest,Very Strong,Strong,Mild,Weakと5ランクありますが、弱い薬をちょこちょこだらだら塗ってもよくなりません。皮膚の症状に応じた薬で早くよくして、ランクダウンしていくのが効果的です。じくじくしているところは感染があるので、抗生剤が必要になります。
  2. どこに
    塗る部位を確認しましょう。基本的にはステロイド外用薬は、湿疹(赤いぶつぶつのところ)に塗りますが、一見かさかさしているだけに見えても慢性の湿疹である場合は、広範囲に塗る必要があります。
  3. どのくらい
    皮膚が「てかっと」光るくらい、ティッシュペーパーがくっつくくらい、しっかり塗りましょう。外用薬のチューブをしぼって、人差し指の先から第一関節までの量が約0.5gです(Finger TipUnit: FTU)。この量で、大人の手のひら2枚分くらいの面積の皮膚に塗ることができます。普通は1日2回、朝と入浴後に塗ります。
  4. いつまで
    少なくとも、皮膚の湿疹が消えるまで、3日から1週間は塗り続けてください。よくなれば、薬の強さをランクダウンする、1日2回を1回にする、というように少しずつ減らしてやめていきます。長期に炎症が続いていた患者さんでは、見た目にきれいになっても、皮膚の中の炎症が残っていてステロイドをやめるとまもなくぶりかえすので気長に塗りましょう。

 

 ステロイドというと副作用を心配される方が多いのですが、飲み薬や注射と違って皮膚に直接塗る場合は、よほど強い外用薬を毎日何か月も塗らないと副作用はおきません。たとえば、よく使われるMildクラスのステロイド外用薬であれば、1日7g(5gチューブ1本半)を毎日1か月塗り続けても副作用はこない、とされています。

(亀崎佐織)

 

 アレルギー, 皮膚   投稿日:2013/05/01