アトピー性皮膚炎 どうやって治すの?

 

cc216 アトピー性皮膚炎(AD)の一番の強みは、見える・触れる、という点である。アレルギー疾患では一番コントロールしやすいと言える。見て、赤い、ぶつぶつ、じゅくじゅく、触って、かさかさ、ざらざら、さらにかゆい皮膚。しっかり塗ってつるつるの皮膚を日常的に維持することが大切である。ADの最大の原因は、バリア障害と皮膚内で起こるアレルギー反応である。バリア障害についてはまずスキンケアにより(清潔と保湿)しっとりとした皮膚を保つ習慣をつける。喘息では現在のところアレルギー炎症を抑える治療しかないが、AD治療の最大の強みは、皮膚の免疫力をおさえる治療のほかに、スキンケアにより皮膚を強くする方法があることである。この皮膚治療の最大の強みを利用しない手はないだろう。清潔を保つためには洗浄剤を用いて「洗う」ことである。「洗う」という行為には二面性があり、不要なものを除くという「良い」面と、逆に洗いすぎ、擦りすぎて却ってドライスキン、かさかさになるという負の面である。要は、皮膚状態に応じた洗い方をすることである。次に皮膚のアレルギー反応を抑える塗り薬である。ステロイド外用薬、2歳以上はタクロリムス軟膏をしっかりと塗って(finger-tipunit(※)、ぴかーっと光るくらい、ティッシュペーパーがくっついて持ち上がるくらい)炎症を抑え込む塗り方が大切である。80%以上の人が塗り方について説明を受けているが、重症ほどうまく塗れていない、ステロイドを塗ることに不安がある、塗ってかゆくない皮膚にする意欲に欠ける、というデータがある。ステロイド外用薬を嫌がるのは、新大阪から東京に行くのに、どうしても新幹線では行きたくないと駄々をこねているのと同じである。一番安全に、しかも確実に目的地に到達できる方法でADをうまくコントロールしたいものだ。

(※)finger-tip unit:人差し指の先から第一関節までの量(約0.5g)

(末廣 豊)

 

 アレルギー, 皮膚   投稿日:2013/05/01