アトピーですか?

 

cc214 子どもさんのお肌のトラブルは、ご本人はもとより、ご両親にとっては非常に御心配なことと思います。その中で最も頻度の高いものの一つに『アトピー性皮膚炎』があります。その診断は、1.激しい痒みを伴い、2.特徴的な皮疹と分布をとり、3.慢性・反復性の経過をたどる皮膚炎とされています。痒みは、引っ掻く動作や掻き傷で分かります。特徴的な皮疹とは、急性と慢性の湿疹が入り混じっていて、分布は一般に左右対称で、年齢により出やすい部位があります。赤ちゃんは、頭や顔から始まるジュクジュクした湿疹で、次第に体へ拡がります。

 幼児や学童は、頸や肘、膝の内側に湿疹ができやすいのが特徴です。慢性というのは、赤ちゃんでは2か月以上、幼児以降では6か月以上続くものを指します。つまり、『アトピー性皮膚炎』の診断は、特別の検査はなく、経過をお聞きして、診察によるものなのです。そこで問題になるのが、湿疹の見分け方です。「おむつかぶれ」、「あせも」、「とびひ」、「虫刺され」などの痒みを伴った急性湿疹はしばらくすれば治ります。しかし、「かぶれ」、「乾燥肌」、「脂漏性湿疹」などの慢性湿疹に急性湿疹が合併して悪化すると、あたかも『アトピー』のように見えます。まずは、お肌をきれいに洗って(脂や汗のたまりやすい場所は石鹸をつけて)乾かし、乾燥した部位には保湿剤を塗って様子をみてください。それでも軽快しない時は、お医者さんに診てもらってください。

 以上のように、『アトピー』の診断にアレルギーの有無は関係ありません。しかし『アトピー性皮膚炎』の患者さんは、ご本人やご家族にアレルギー疾患(食物アレルギー、気管支喘息、アレルギー性鼻炎・結膜炎、アトピー性皮膚炎)のあることが多いので、参考にします。また、血液中のIgE抗体の数字も参考にすることがあります。いずれにしても、『アトピー性皮膚炎』の診断は、どんな名医でも一回の診察だけでできないことがあり、経過をみることが最も大切だと思います。

(住本真一)

 

 アレルギー, 皮膚   投稿日:2013/05/01