アレルギー疾患を持つ子どもの幼稚園・保育所での対応

 

cc221 アレルギー疾患の多くは乳幼児時期に発症します。この時期は成長・発達においても大変重要な時期ですが、アレルギー疾患は様々な形で成長・発達に影響を及ぼす可能性がありますので、この時期からしっかりとした治療を心掛け、成長・発達に悪影響を及ぼさないよう上手く付き合っていくことが大切です。子どもの社会性の発達を考えた場合、幼児期からの集団生活はとても大切です。この点で保育所や幼稚園、学校とも連携して予防的、あるいは悪化時の対応を講じる必要があります。以前は保護者がそれぞれに保育所や学校に病気のことや、緊急時の対応を依頼しており、逆に保育所や学校の受け止め方、対応も様々でした。それがようやく最近になって、保育所や学校における対応に一つの基準が示されました。それが「学校におけるアレルギー疾患児への対応ガイドライン」と「保育所におけるアレルギー疾患ガイドライン」です。これらガイドラインでは患者・家族と保育所や教育機関、そして医療が個々の児の病状を共通認識し、生活上の注意点と緊急時の対応を確認する重要性が示されており、具体的には主治医が作成する「生活管理指導表」を用います。指導表には病気の程度や治療内容、学校生活上の留意点、そして緊急連絡先(保護者と医療機関)が記載されます。もちろん保育所・幼稚園・学校は医療機関ではないため、出来ないことも少なくはありません。ただ喘息発作や食物によるアナフィラキシーなど緊急時の対応はとても重要です。このような場合には家庭と学校などが互いに連携して対処することが重要です。例えばアナフィラキシー時に学校職員が子どもの代わりに「エピペン」という自己注射器を打っても、法律上問題がないことが示されました。それでは先生方がこの注射器の講習を受けているかというとそうではありません。したがって先生方にエピペンの使用をお願いせねばならない場合には、その使用方法に関しても共に理解する必要があるのです。このように小児のアレルギー疾患に対する社会的対応は始まったばかりです。今後のさらなる改善が期待されます。

(亀田 誠)

 

 アレルギー   投稿日:2013/05/01