食物アレルギー

 

食物経口負荷試験と経口免疫療法

cc219 最近では、食物アレルギーの子どもも珍しくなくなり、世間にはいろいろな情報が溢れています。ここでは、外来でよく質問される食物経口負荷試験と経口免疫療法についてお話します。これらを混同しているお父さんお母さんも多いので、ご注意ください。

 まず食物経口負荷試験ですが、他には「負荷試験」や「チャレンジテスト」などと呼ばれます。アレルギーの検査には血液検査や皮膚検査など様々な検査法がありますが、ある特定の食物を食べられるかどうかを確実に判定できるものはありません。そこで、医療従事者が症状を観察しながら、目的とする食物の量・食べる時間を決めて食べるという、食物経口負荷試験を行います。その結果に基づき、食べられるかどうかを判断する『検査』ですから、これをしたら食べられるようになる、という訳ではありません。

 次に経口免疫療法ですが、他には「免疫療法」や「減(脱)感作療法」などと呼ばれます。こちらはアレルギー症状を起こすと明らかに分かっている食物について、個人個人によって異なる閾値(アレルギー症状を起こす最小限の量)を決定し、少量ずつ計画的に食べていくことでアレルギーの症状を出ないようにするという『治療』のひとつです。しかしその間にアナフィラキシーなどの急激な症状を起こす可能性もあり、安全性の確保が重要です。ですから、自宅で少しずつ食べて慣らすということは決してしないでください。また、それを乗り越えてこの治療を行ったからといって、必ずしも成功するとは限りません。一度は食べられるようになっても、途中でまた症状が出るようになってしまうこともあります。現時点では研究的に行われているもので、どこの病院でも、どんな子でもできるものではありません。

 乳幼児の食物アレルギーは、成長ともに良くなることが多いです。けれど中にはなかなか食べられるようにならず、これからどうすればいいのか困っているお父さんお母さんもおられると思います。自分たちだけで悩まず、まずはかかりつけの小児科の先生と相談してみて下さい。すっきり治る病気ではありませんが、うまく付き合える方法が見つかるでしょう。

(藤川誌織)

 

 アレルギー   投稿日:2013/05/01