小児ぜん息の治療

 

cc211 ぜん息は、急に息苦しくなる発作を起こす、慢性の病気のため、その治療は、発作時の治療と、発作予防の治療の2つに分けて考えます。発作時はしんどいので、お医者さんを受診し、気管支拡張薬の吸入を受けることが多いです。この吸入は、気管支を取り巻く筋肉の収縮を緩め、気管支の内腔を拡げ、息を楽にします。効果は吸入後すぐに現れますが、数時間で切れてきます。発作は強さによって、小発作、中発作、大発作と3段階あります。小発作は吸入だけで帰宅できます。しかし、中発作の場合、吸入だけでは効果が不十分で、酸素を吸ったり、点滴をすることがあります。それでも効果の乏しい場合は、入院して治療を継続することになります。大発作は、顔色が悪く、血液の酸素濃度が低下し、緊急入院が必要となります。酸素濃度は、指を挟むクリップのような形の器械で測定します。健康な人の酸素飽和度は、95~100%ですが、発作がひどくなると数字が下がり、95%以下では酸素投与が必要となります。発作時の受診以上に大切なのが、発作の消失後の受診です。ぜん息は発作を繰り返しながら悪化していく慢性病なので、発作予防が大切です。発作予防のために、1)ダニ、ほこり、ペットのフケなどのアレルゲンやタバコ、煙などの刺激物などを除去する環境整備、2)腹式呼吸などの体力づくり、3)予防薬の継続が3本柱となります。発作の無い時に、予防薬を続ける事は難しいと思いますが、お医者さんと2人3脚で続けていきましょう。続けるための自己管理ツールとして、ピークフローメーターという簡易肺機能測定器とぜん息日誌があります。これを毎日行い、ご自宅で自己管理を行う事が、小児ぜん息を治す一歩となります。「小児ぜん息は7割が治る。」と言われていますが、逆に言うと、3割は大人まで持ち越します。また、一度治ったように見えても、大人になって再発する方もおられます。「小児ぜん息は治る。」と楽観視せず、発作の無い時ほど、きっちり治療してください。

(住本真一)

 

 アレルギー, 呼吸器・循環器   投稿日:2013/05/01