溶連菌感染症

 

cc203 扁桃炎をおこすと、よく抗生物質が処方されます。お母さんの多くは、熱が下がればお薬を止めてしまっていませんか?。扁桃炎をおこしてくる病原体はいろいろありますが、熱が下がった後もきっちりとお薬を続けておかなければならない細菌感染症に溶連菌感染症があります。

 A群β溶血性レンサ球菌(溶連菌)による感染によるもので赤い発疹のでるタイプを猩紅熱(しょうこうねつ)といいます。最近は早期に抗生物質を使用するため症状がそろわないものも多く、一般的に溶連菌感染症と呼ばれています。

 この菌の感染を受けてから2~4日後に、発熱、のどの痛みを訴え、発熱後1日以内に体に発疹が出現します。発疹は遠くから見ますと、日焼けしたように赤く見えます。近寄って見ますと、針先のような小さな赤い斑点が集まっているのがわかります。この発疹の手触りが特徴的で、ちょうど紙やすりの表面を撫でたときのようなザラザラ感があります。舌の表面にもぶつぶつができて、イチゴの表面のようになり“イチゴ舌”とよばれる状態になります。発病後1週間から2週間にかけて手や足の指先から皮がむけることもあります。

 診断にはのどの細菌検査が必要です。最近は、迅速診断法が開発され、約15分で結果がわかります。

 治療には抗生物質が有効で、1日内服すれば熱はさがってしまいます。しかし、抗生物質をはやく止めてしまうのは危険で、急性腎炎や心臓弁膜症の原因となるリウマチ熱などの合併症を起こすことがあります。溶連菌感染があった患者さんの扁桃腺から完全に溶連菌を消滅させるのには、ペニシリン系の抗生物質であれば最低10日間の内服が必要です。お薬をきっちり内服し、その後合併症のチェックのために、診察と尿検査を受けるようにしましょう。また、抗生物質を内服していない患者さんから人にうつることがありますので、かかりつけ医に相談しましょう。

(卯西 元)

 

 感染症   投稿日:2009/09/01