残留農薬

 

cc177 人間、とくに子どもが口にするものは、安全であるものにしたい。親なら誰もが願っていることです。しかし、実際に私たちが口にする食品にはさまざまな添加剤が使われ、またその材料となる作物にも様々な農薬が残留していることが報告されています。現代農業では、害虫を防除したり、雑草を取り除いたりするために農薬を使って生産することが一般的で、自然には分解されず農作物に残留するものも多いものです。そのため、食品衛生法(第11条)で厚生労働大臣が、一日摂取許容量(ADI)をもとに残留しても許容される農薬の最大上限量として「残留農薬基準」を定めています。この基準を超える農薬が残留している農産物は販売が禁止されます。普通1Kg当たりの農作物に、農薬が1mg残留するppm(百万分の1)という濃度単位で表されます。例えばクロルピリホスという農薬は米(玄米をいう)に対する残留基準値が0.1ppmと定められ、米1kgあたりに0.1mgを超えてはいけないことになっています。問題は、残留農薬基準値以下なら本当に大丈夫なのかという問題です。クロルピリホスは、有機リン系殺虫剤で、リンゴ、ナシのアブラムシやシロアリ駆除に用いられますが有害性が高く、最近シックハウスの原因として建材には使用が禁止されたものです。もうひとつは、実際には、輸入農作物では、違反事例が多いということです。したがって、乳幼児を抱える場合、実際に手に入るもののなかから、食材は産地のわかった、農薬の使用量の少ない、出来れば残留農薬の検出されないものを選ぶことが身を守るために大切だといえます。

一日許容量ADI(Acceptable Daily Intake)とは、健康上のリスクを伴わずに、人が生涯にわたり毎日摂取することが出来る体重1kgあたりの量をいいます。ADI=無毒性量/安全係数(100)すなわち動物実験によって求めた無毒性量の100分の1以下をADIとしています。しかし、安全の評価は新しい実験によって変化するものであり、あくまで現状で安全とされているということに過ぎないことに注意すべきでしょう。

(真鍋 穣)

 

 事故と安全   投稿日:2006/09/01