頭をうった

 

cc170 子どもは身体の大きさの割に頭が大きく、頭部外傷が多く見られます。

 自分で動けない乳児期前半では、お父さん、お母さんが抱っこや高い高いをしていて、また時には自転車の前につけた補助椅子に乗せていて落とすなど、不注意による事故がほとんどです。流行のベビーバスケットに入れていて、バスケットごと落とすケースもあります。また寝返りもできないこの時期に、足でピョンピョンと布団を蹴って、ベッドから自分で落ちることもあります。このように乳児期早期の頭部打撲は、注意すれば予防できるものです。また生後数か月の乳児は、打撲しなくても、頭を強く揺さぶられたりすると、中で出血することがあります。愛情をこめてやさしく接して下さい。

 はいはいができるようになると、あっという間にどこからでも転落しますので目が離せません。乳児期は頭の骨が柔らかいので特に注意が必要です。打撲の程度が強かったり、顔色が変わったりしたら、医師の診察が必要です。

 歩き、走れるようになると、転倒による頭部打撲が後を絶たなくなりますが、この頃には次第に骨も固くなってきますので、軽い打撲で、頭を打った後すぐに泣き、顔色も良ければ、通常心配はありません。しかし打撲後24時間から48時間は様子を見て下さい。頭を打った後、頭の中に出血など無いのに、吐くことが時に見られます。神経症状がなければ心配はありませんが、顔色や全身状態を注意して観察してください。顔色が蒼白になる、何度も吐く、もうろうとなるなどがあれば、医師の診察が必要です。年長児では、頭痛・痙攣などの重篤さを示す症状は、おおむね成人と同じです。

 子どもの症状の観察を行うためには普段の様子をしっかり把握して、ご両親の観察の目を養っておくことも大切でしょう。

(永井利三郎)

 

 事故と安全   投稿日:2006/09/01