新一年生

 

cc150 ピッカピッカの一年生。人生の最も大切な門出の時です。入学の半年前に就学前健診が学校医によって行われています。お母さんや保護者の方々に連れられて幼稚園児や保育園児が入学予定の小学校にやってきます。皆張切っています。「小学校へ入学うれしい?」と聞くと全員「うん」と答えます。例外的に聴診器を当てるだけで泣く子もいますが皆元気です。

 この段階で内科、耳鼻科、眼科の検診。その他いろいろの問題を持っているお子さんの相談などを行います。肥え過ぎている子、痩せすぎている子も例年必ずいます。最も目立つのはアトピー性皮膚炎です。その他頚部のリンパ節の腫れや心臓の雑音などをチェックしますが、治療を受けておく必要のある病気は入学迄にかかりつけ医に相談しておきましょう。

 欧米では入学迄に受けておかねがならない予防接種のチェックがありますが、我国ではそれほどきびしくはありません。しかし、予防接種で防ぐことのできる病気を知って、入学までに済ませておきましょう。BCG、DTP(ジフテリア、破傷風、百日咳)、ポリオ、MR(麻しん、風しん)はもちろんですが、水ぼうそうやおたふくかぜなどまだかかっていないお子さんは是非済ませておきたいものです。この種の病気で入学早々に長期間欠席はかわいそうです。

 私も入学式に校医として出席しますが、私の小学校では新二年生がタンバリン、ハーモニカなどを合奏しながら入場して来ます。そのまま新一年生をぐるっととり囲みます。続いて一人一人が新一年生に語りかけます。「新一年生の皆さんご入学おめでとうございます」から始まって、歓迎の言葉が続きます。再び楽器の見事な演奏がはじまります。一年前に同じようにして迎えられた新二年生の、この一年間の見事な変貌と成長をまざまざと見せつけられます。新一年生にもビデオ片手の父兄の方にも、我が子の一年先の姿を確実のものとしてしっかりと脳裡に焼きつけます。

 この時期の一年間は、人生80年の間に体験することが二度とないほど急速な成長をとげる時期です。近年保健室登校が急増しています。目を輝かせている新一年生が、そのまま輝く目を持ちつづけてくれることを祈ります。

(中野博光)

 

 3歳ごろから小学生ころまで   投稿日:2013/05/01