低身長

 

cc152 低身長を気にして受診される患者さんは多いですが、その大部分は体質性のもので、治療の必要はないものです。しかし、すぐに治療が必要な疾患や治療することで背を伸ばせる病態もあります。それを見分けるためにもっとも重要なことが成長曲線の作成です。母子手帳や学校の身長の記録をもって医療機関を受診しましょう。低身長であったとしても成長曲線に平行して伸びていれば、体質的なものが考えられます。成長曲線からはずれて伸びが悪い場合には、血液検査や手の骨のレントゲンが必要になります。慢性腎不全や炎症性腸疾患などで伸びが悪くなることもあります。甲状腺機能低下症も多いです。成長ホルモンも調べますが、日内変動が大きく、1回の採血ではあまり参考になりません。ソマトメジンCは成長ホルモン分泌の指標として重要な検査で、その値により成長ホルモン負荷試験を考慮されます。朝、絶食で30分ごと2時間にわたり採血をして診断します。成長ホルモン分泌不全を認めた場合、脳腫瘍がみつかることもあります。女児で低身長の場合、ターナー症候群も考えられます。X染色体の片方の欠失が原因ですが、外見は低身長以外正常のことが多く、知的発達も正常です。ターナー症候群の場合、負荷試験の必要はなく、-2.0標準偏差以下で成長ホルモン治療が適応になります。女児で伸びの悪い場合は、専門医の診察を受け、染色体検査を行えば診断がつきます。

 最近、成長ホルモン治療がSGA性低身長症にも適応が拡大されました。SGAとは出生時の体重、身長が週数に比べ小さいことをいいます。SGAでは3歳までに9割は追いつきますが、追いつかなかった場合は成人身長も低くなることがわかってきました。3歳以上で身長が-2.5標準偏差以下、伸び率が標準以下の場合、適応になります。

 以上、治療が必要な疾患や治療することで背を伸ばせる病態を簡単に解説させていただきました。

(藤田敬之助)

 

 3歳ごろから小学生ころまで, その他   投稿日:2006/09/01