肥満とやせ

 

cc151 子どもの自然な成長を体脂肪という角度から見てみましょう。まずしわくちゃの赤ちゃんとして生まれ、1歳に向かって男子も女子もぽっちゃりとしてぷくぷくと太って体脂肪が増えます。そして1歳をピークにして次に6歳から7歳に向かってだんだんスマートになって行きます。この頃から男女の差が出てきます。女の子は9歳頃から思春期が始まり体脂肪と筋肉が同時に発達し女性らしい体型になっていきます。一方男子は女子より2年遅れて11歳頃から思春期が始まり、身長の伸びと平行して主に筋肉や骨格が発達し男性的な体型になって行きます。女子は思春期真っ盛りの中学生の頃がっちりとして一見太っているように見える時期があって、その後20歳過ぎには自然に余分な部分が削られるかのように曲線美のある体型になります。女性にとって体脂肪はこの曲線美を作りそして将来の妊娠や授乳に備えるための栄養の貯蔵庫と考えられています。このように、人には体脂肪のリズムが自然に備わっているといえます。

 肥満とは体に必要以上の脂肪がついた状態で、やせは逆に健康に必要な脂肪や筋肉等の体を構成する組織が少ない状態を言います。肥満もやせも共にそれが過度であったり長期間続くと健康障害を起こしてきます。肥満は糖尿病、高脂血症、高血圧といった生活習慣病を起こし、やせは過度になると生理が止まったり多くの障害を起こします。今、子どもでは肥満とやせの両方が問題になっています。まず子どもの肥満が増えている事です。運動不足、食べ過ぎが直接の原因ですが、それを助長する現代の社会に問題があるため本人任せにはできません。家族、学校、かかりつけ医など周りの大人が積極的に関わっていく必要があります。一方若い女性にやせ志向が強まっていることが問題になっています。中には神経性食欲不振症と言って病的なやせの子どもがいます。現代の社会では周りの大人達が、子どもが運動不足、食べ過ぎにならないように、また不必要なダイエットをしないように絶えず配慮する必要があります。

(小國龍也)

 

 3歳ごろから小学生ころまで   投稿日:2006/09/01