チック

 

cc149 チックは、日常の動作にはない早い特異な動きです。症状はまばたき、首の急激なすくめ、肩すくめ、顔しかめなどが突発的に生じます。しかし、こういった単純な動作だけではなく、風邪をひいたときの様な咳をしたり、咳払いや鼻をならしたり、またほえたりもします。さらに、身なりを正す動作、自分を叩いたり、かみついたり、飛び上がったり、物にさわったりしますし、足を踏みならしたり、物の匂いをかいだりするような複雑な動作をします。そして、状況に合わない単語や文章の繰り返し、汚言、独特の音声や単語を繰り返したり、他の人の言った最後の言葉をそのまま繰り返したりもします。チックには、このように様々な症状が含まれます。

 チックは精神的な病気と思われがちですが、本質的にはチックを起こしやすい大脳の特徴が基礎にあり、心理的なストレスが重なって出現します。幼稚園から小学校入学のころに出現する場合が多いですが、稀には幼児でも出現します。100人の小児の内5人が発症します。

 治療は心理的ストレスがきっかけとなっている場合はそれを取り除きます。単純な動作のチックでは1年以内に消失することが多いので、チックをやめるように言ったりしないこと、きつくしからないようにすることで大半は治ります。しかし、チックの症状が2種類以上重なったり、体の動作と同時に声が出たりする場合はトゥーレット症候群といって単純なチックよりも重症です。この場合は、放置しておくと治らないので薬による治療が必要です。最近は、ドーパミンの投与が効果のあることが知られてきています。長時間持続しているチックにもドーパミンの投与が効果があります。カウンセリングはトゥーレット症候群の場合は効果がありません。トゥーレット症候群やチックが長時間持続している場合は、小児科医または専門医にご相談下さい。

(安原昭博)

 

 3歳ごろから小学生ころまで, その他   投稿日:2006/09/01