言葉がつまって言いにくい子どもの問題

 

吃音:きつおん

cc148 吃音というのは、話すときの協調運動がうまくいかず、言葉のリズムに障害をきたす状態のことです。言葉の発達が未熟な時期には、自分の思いをうまく表現できず、言葉に引っかかりを起こし口ごもりが出るので、2歳から5歳ごろによくみられます。圧倒的に男の子に多いようです。この段階は「一次性吃音」と呼ばれ、子どもの方はあまり気づいていないので、周囲が話し方に過度に反応せず、気楽に自由にしゃべらせるという雰囲気づくりをすることで、そのうちに何事もなく発達していくことも多いものです。例えば、膝に抱いたり寝転んだりして、一緒に絵本を見ながらおしゃべりしてみてください。つたない表現や、赤ちゃん言葉が混じっていても、いちいち言い直しなどさせないでください。そして、「きれいだね」や「楽しいね」、「すごく○だなあ」など、ご両親もできるだけ自分の気持ちを言葉にするようにしてみましょう。ちょっとおしゃべりになるぐらいのほうがいいかもしれません。

 でもこの時期に、周囲が話し方を直そうと注意したり、話す内容よりも話し方にこだわったりすることが続くと、子どもは話すことを意識し、緊張するようになってしまいます。自分の話し方に自信がなくなって話すことを避けたり、不安で余計にうまく話せなくなったりなど、悪循環を起こしてしまう、これが「二次性吃音」といわれる段階です。ここに至ると、親子で益々不安を高めあってしまうこともよくありますので、専門家による治療が必要です。かかりつけ医にご相談ください。治療機関では、ご両親の不安を鎮めたり、環境調整をしたり、子どもに対しては心理的治療や言語療法などがなされたりします。ここでも大切なことは、子どもの話し方を治すのではなく、表現された子どもの心をしっかり受け止めていくということなのです。たとえ流暢に言葉を操っても、心のこもらない話は相手の心にも響きませんよね。子どもが安心して心の間口を広げていられるように、そして自信を持って自己表現できるようにしてあげましょう。

(西嶋加壽代)

 

 3歳ごろから小学生ころまで   投稿日:2006/09/01