落ち着きのない幼児

 

cc143 幼児は大人の感覚からすると全員落ち着きがないようにみえます。元気に走り回り、色々なものに関心をもって触るので多動ではないかと思うくらいです。むしろ周囲の人や物に関心をもたずにじっとしていたり、ひとつの物に集中して母親との対話もない方が問題です。

 2~3歳では落ち着きのない子はわかりません。気ぜわしい子もおればおっとりした子もいるので性格と考えていいことが多いと思います。同年齢の大勢の子どもと一緒に遊ばせてみると、ひときわ目立って落ち着きがなければわかります。

 落ち着きがない場合には脳になんらかの発達障害がある可能性も考えられます。身体異常として、精神遅滞、自閉症、睡眠障害、注意欠陥・多動障害、てんかんなどの初期症状もありますが、多くは本人の性格と環境因子による複合産物と考えられます。環境因子には家庭不和、無理なしつけ、教育ママ、虐待、下の子どもの誕生、保育園嫌い、騒音などがあります。

 いつから落ち着きがないのか、なにがきっかけとなっているのかを思い出してみましょう。やさしい子にはやさしく対処し、やんちゃな子には多少きつくしかるなど子どもの性格にあわせて、しつけることも必要です。衝動的にしかるのは子どもにいらいらをつのらせ、情緒を不安定にします。してはいけないことを具体的に指摘し、正しいことを具体的に教えてやることが必要です。うまくやれば誉めてやりましょう。

 母親の弱点は父親が補ってやるべきです。父親も育児に積極的に参加し、母親をよくサポートすることが母親の精神的支えにもなり、子どもに余裕をもって接することができ、新たな発見をして、育児に自信をもつようになります。外気にもあたり、自然と他の子どもとの触れ合いを感じさせましょう。落ち着きのない子をみつけるよりも落ち着きのない子にならないように育てることが大切です。落ち着きがないと思えば小児科医にご相談下さい。

(隅 清臣)

 

 3歳ごろから小学生ころまで   投稿日:2006/09/01