赤ちゃんの突然死

 

cc122 これまで元気に育ってきた子どもが、ある朝、布団の中で、亡くなっていた。このような病気は、乳幼児突然死症候群(SIDS)と呼ばれます。この病気は、生後2か月から4か月の時期に起こることが多く、死後に行われる解剖によってもその死因となるものが見出せないというやっかいな病気です。乳児の死亡原因の上位を占めています。

 SIDSは、両親の不注意で起こった過失や事故ではありません。SIDSは保育所における突然死などのときに責任が問われ、社会的にも大きな問題となっています。1998年6月、厚生省は、全国調査の結果、うつぶせ寝、人工乳保育、保護者の喫煙によりSIDSの発症のリスクが高まると発表しました。生まれてすぐに未熟児や口腔・背中の奇形などで、うつ伏せを医師から指示されている赤ちゃん以外は、仰向けの体位で育てた方がよいでしょう。母乳保育に関しては、人工乳保育の方が突然死のリスクが高いとされています。子育ての時期に両親が喫煙するのは子どものためにはよくないことです。また、赤ちゃんの着せ過ぎも突然死発症のリスクが高まります。

 以前、日本では2000人の出生に対し、1人の割合でSIDSのために、赤ちゃんが亡くなっていましたが、キャンペーンやこの病気に対する理解が浸透したせいかその頻度も減少しておりますが、いまだに年間100余名が死亡しています。赤ちゃんの突然死には、重症肺炎などの感染症や先天性代謝異常症という病気が含まれています。これらの病気も適切な治療が必要です。最近では、生後すぐに濾紙血で行われるマス・スクリーニング検査で代謝異常症による赤ちゃんの突然死予防の可能性が期待されています。

 生まれてから半年くらいまでの間は特に赤ちゃんを長い間、一人にしないように注意しましょう。母親でなくとも誰かが赤ちゃんと一緒にいるように心がけ、寝室も家族と一緒が望ましいです。SIDSは8割が生後6か月以内に起こっているので、その時期は特に赤ちゃんとの接触が大事であるということです。

(特別寄稿 中山雅弘)