赤ちゃんの血便
かわいい赤ちゃんの便に突然血液が混じったらびっくりしますね。まず赤く見えているのが本当に血液か確かめることが大切です。昨日赤いものを食べたりしていませんか?たとえばトマトやスイカなどはそのままの色がでることがあります。またある種の抗生物質をミルクといっしょに飲むとレンガ色の便になります。
血液が便に混じる病気はいろいろあります。生後1週間以内におこる新生児メレナはビタミンKの不足によって出血しやすくなり便に血液がまじる病気です。また生後1、2か月ころにも主に母乳栄養の乳児にビタミンKの欠乏によって出血しやすくなることがありますが、現在はその予防のため、出生後すぐ、生後1週、生後1か月の計3回ビタミンKシロップが投与されます*。
新生児、乳児に、牛乳アレルギーのため大腸に炎症を起こして便に血液がまじることがあります。ミルクの除去などの対策をとれば軽快します。また母乳栄養児でも同様のことがおこることがあり、このときは母親に牛乳の除去を行うと軽快します。
大腸粘膜にリンパ濾胞の過形成が起こり凹凸を作って、その表面から出血して便に点状や線状の血液が混じることがあります。原因はよくわかっていません。結節性リンパ濾胞過形成と呼ばれるものです。母乳の児に多いので母乳血便と言われることもあります。生後2~3か月からみられ、多くは数カ月で自然に治癒します。
腸が腸の中に入り込む腸重積という病気があり、主に生後4か月以降に起こります。症状は粘液の混じった血液の便ですが、腹痛が強いので激しく啼くあるいは不機嫌で、嘔吐することがあります。いつもと様子が違うはずです。
細菌性腸炎は便に血液がまじることが多い病気で、あらゆる年齢におこります。これはサルモネラやキャンピロバクターなどの細菌の感染によって発症します。最近よく話題になったO157という大腸菌による腸炎は特に症状が激しいのが特徴です。
以上のほかに、肛門が切れて出血することもあります。また腸のポリープから出血することもあります。
おかしいと思ったときは小児科の先生に診てもらってください。また症状が激しいときは深夜でも病院を受診してください。
*補遺:さらに生後3か月まで毎週投与する方法も検討されている。
(市川正裕)