学校給食

 

cc073 学校給食の歴史は明治22年までさかのぼり、山形県の小学校で弁当を持って来られない貧しい児童におにぎりや焼き魚などを出したのが始まりとされています。その後国の施策として全国に広がり、戦後まもなくは外国からの救援物資(脱脂粉乳や小麦粉など)が使われました。日本が貧しく慢性的な食料不足の時代、学校給食の最大の目的は栄養不足の改善でした。

 その後高度経済成長の時を経て世は飽食の時代に突入します。今子どもたちの周りには食物があふれかえっています。飢えや栄養失調という言葉は遠いものになりました。しかし“不足”に替わって、新たな問題がたくさんでてきました。過剰や偏り、習慣化した朝食抜きや夜食、ながら食べ、孤食(家族がばらばらに食事をとる)や個食(それぞれが好きなものを食べる)あるいは固食(いつも同じものを食べる)、食事作法への無関心、食文化(行事食や郷土食)の消失などです。

 最近 ‘食育’ という言葉をよく耳にされると思います。食育とは、様々な経験を通じて「食」に関する知識と「食」を選択する力を習得し、健全な食生活を実践することができる人間を育てることです。食は体力、知力、気力のみなもとです。個々人に食について考える力をつけさせることを目的としたのが食育です。平成17年には食育基本法という法律も施行されました。こうした時代背景の変化をもとに、現在給食は単に「学校でとる昼ごはん」ではなく、“食” を勉強する生きた教材という役割を担っています。学校給食を通じて、種々の食材について、調理法について、バランスのとれた食事内容や量とはどんなものか、あるいは食事の作法などを勉強します。また仲間で食事をとることの楽しさ、協力して準備をすることの大切さ、作ってくれた人への感謝の気持ち、日本や郷土の食文化なども勉強します。

 でも給食は年に約160回、こどもたちの食事の6分の1を担っているに過ぎません。やはり食育の中心は家庭であるべきです。朝ご飯を食べない子は、午前中脳にブドウ糖の補給がなく気力、知力、体力とも低下します。ながら食べや夜食は肥満のもとであり、生活のリズムを奪います。お母さん、お父さんが食事作法に無頓着で、ばらばらな時間に食事、これでは子どもたちはどう思うでしょう。子どもたちと学校給食を話題にし、家庭全体で良い食事習慣を実践していきましょう。

(山崎 剛)

 

 食生活   投稿日:2006/09/01