貼付型冷却剤をどう使うか

 

cc038 子どもが病気になったときに使われるもので、ここ15年ほどのうちに急速に一般化したものとして貼付型(シート型)冷却剤があります。熱さまシート、冷えピタなどという商品名で売られているものです。なぜあんなものでひんやりとするのでしょう。その秘密はシートの中に含まれている水分にあります。この水分が蒸発するときに奪う気化熱が冷却効果をもたらすのです。ちょうど、汗をかいている時に風に当たると涼しいのと同じ原理です。ただし、額に貼っている限り頭が冷やされ気分が良くなる効果は大きいですが、全身の解熱という効果は乏しい(実際の体温変化を調べた論文もあります)ようです。

 全身の解熱のためには脇や太ももの付け根を冷やすのが良いということから、最近そういった部位に貼るタイプの貼付型冷却剤も発売されています。また頭用の貼付型冷却剤を脇の下に貼っている方もおられます。しかし、これらはほとんど意味をなしません。先に書きましたように水分が盛んに蒸発することによって解熱効果が出るのですが、特に冬場などは上からしっかりと服を着ていますので蒸発しにくい、すなわちほとんど効果がないというわけです。脇や太ももの付け根を冷やすのであれば、やはり氷などを使わねばなりません。ケーキ屋さんでお持ち帰り用につけてもらった保冷剤を再利用しても良いでしょう。金太郎のような腹巻きだけというような格好をしているのでなければ、残念ながら貼付型冷却剤では蒸れるだけで終わってしまいます。

 なお、4か月児に使用していた貼付型冷却剤が、母親が目を離している間にずれて鼻孔をふさぐ事故がありました。窒息、呼吸停止状態となり、救急蘇生したものの重度の障害を残す結果となっています。自分の手で払いのけることの出来ない乳児への使用はやめましょう。また、かぶれなどが見られることもあります。以上のことからも貼付型冷却剤を使用する場合は安易に使うのではなく、その特性や限界を理解して利用したいものです。

(川崎康寛)