発熱で頭がわるくならないか

 

cc036 体温の異常な上昇、すなわち発熱は病気の兆候の一つであり、からだを守る反応としても重要な役割を担っています。子どもの正常な体温は、年齢、測定時間、運動・食事・入浴などにより変化し個人差もあります。体温調節のしくみについて説明しますと、脳の中心部の視床下部というところに体温調節センターがあり、そこが体温を36.5℃にセットするという命令をだせば、全身がその命令にしたがって反応します。周囲が暑くなると、汗を出して体温をいつも36.5℃前後に調整し、反対に寒くなると、毛穴を収縮させて体温を発散させないようにして体温を維持します。

 しかし、この体温のセット機構を乱す物質があります。発熱物質と呼ばれるものです。ある細菌やウイルスが体内に侵入すると、マクロファージと呼ばれる白血球の一種が刺激されて発熱物質がつくられることにより、体温調節機構が乱れて体温が上がります。いきなり体温が40℃のセットにおきかえられると、全身がその命令にしたがい反応します。まず、毛穴を収縮させ、全身の筋肉を小さくけいれんのように運動させて熱を出し、短時間内に体温が一気に40℃に上がります。そのために発熱時にはゾクゾクと寒気がしてふるえます。したがって発熱は健康時よりも体内の温度設定が高いところにセットされたことによるものです。発熱の原因は呼吸器、消化器、循環器、神経系、泌尿器などの病気や心因性要因とさまざまです。子どもに熱があっても顔色がよくて、機嫌も上々ならばあわてることはありません。体温が39℃以上でも、高熱だけでは脳の組織は大丈夫です。障害を引き起こすのは、髄膜炎や脳炎のために反復性のけいれんを起こしたり、脳が酸素不足になっているときです。その場合には注意が必要です。発熱のときは、水分や栄養補給に心掛け、原因の治療や合併症の予防を中心とした治療を受けることが大切です。

(村田良輔)