学校医、園医そして保育所嘱託医

 

 保護者の皆さん、子どもさんが病気になった時に診てもらうお医者さんは決まっていますか?

 子どもさんの体の調子が悪い時や子どもさんの健康について困った時に相談したり、診察してもらう小児科医を普段から決めておいて下さい。このような小児科医をかかりつけ医と言います。かかりつけ医がいると家庭での子育ては安心です。

 では、子どもさんが保育所、幼稚園、学校にいる間はどうなのでしょうか?学校で子どもさんの体の調子が悪くなった時、学校の先生方だけでは親御さんとしては心配ですね。でも大丈夫!学校には学校医が定められていて、子どもたちの健康状態だけでなく、学校の衛生環境から学校の先生方の健康問題にまで注意して指導する医師がいます。小学校・中学校・高等学校の学校医です。幼稚園には園医さん、保育所には嘱託医と呼ばれる医師がいます。明治時代に「学校に学校医を置くこととする」という法律が定められました。そして学校医も参加した学校保健活動が子どもたちのためにおこなわれています。これは日本独自のすばらしい制度で、外国には見られません。

 ところで、お父さん・お母さん方はお子さんが通っている学校の学校医さんをご存知ですか?

 子どもさんの学校での健康問題で学校医さんとお話ししたり、相談したことはありますか?「学校医なんて知らなかった!」「学校医なんて話したこともない!」と言われると私たち小児科医は悲しくなります。でも「学校医が居る?」「どうすれば学校医の話を聞ける?」なんていう疑問・質問を寄せていただければ、世話焼き人間の小児科医は大感激です。

 学校医の仕事(職務)も学校保健安全法で決められています。まず「学校医は児童・生徒の定期健康診断に従事すること」とあります。毎年4月~5月にかけて学校でおこなわれる内科健診のことを指します。学校ではこの定期(内科)健診の他に、眼科健診・耳鼻科健診・腎臓検診(検尿)・心臓検診などがおこなわれます。またこれらの健康診査や各種検診の他、いろいろな仕事を学校医はおこなっています。もちろん、子どもさんたちが学校に居る時間帯すべての時間に学校医が執務しているわけではありません。校長先生・保健主事の先生・養護教諭そして担任の先生方と密接な連絡をとりながら、学校での子どもさんたちの安全と健康に気を配っているのが私達、学校医の姿です。学校医は健診の他、スポーツ外傷、こころの問題などでも保護者の皆さんや学校関係者の力になれるよう勉強・努力しています。普段から学校医・幼稚園医・保育所嘱託医の存在を知り、何でも声をかけてくだされば小児科医の本望です。

(小川 實)

 

 小児科とのつきあい方, 集団生活   投稿日:2006/09/01