受診時の携帯電話の活用

 

cc020 医師の診察の取っ掛かりは患者さんやその家族に対する問診です。言い換えれば、いつから熱が出た、咳が出ている出ていない、出ているとすればどのような咳かなどという、患者さんやその家族が持っているいろいろな情報の聞き取りです。このあたりは子育て通信別稿の「小児科を受診するときに」でも書かれています。

 ただし、情報はそれだけではありません。例えば小児科へ受診する際に、たとえば子どもが下痢をしている場合に、おむつをビニール袋に入れて持って行ったことはありますか。お母さんが「下痢があって、色がちょっと白くって、固さはちょっとドロドロくらいで水まではいかない、………」と説明されるのも重要な情報ですが、便の実物があるというのは「百聞は一見にしかず」、大きな情報です。場合によっては、問題となる菌やウイルスがいないかといった検査をする材料にもなります。

 お母さんにとって、咳の状態や発疹の性状は、便の性状などに比べてさらに状況の説明がしにくい対象のようです。夜間のみの咳や、出たりひいたりしている発疹もあり、ちょうど受診時に見られないことも多いものです。咳なら何かに録音して診察の時に再生すれば、口で説明するよりよほど確かです。発疹も写真に撮っていれば貴重な記録となります。そこで、お勧めしたいのが携帯電話の活用です。最近の携帯電話は、ボイスレコーダー機能やデジカメ顔負けの撮影機能があります。これを利用しない手はありません。器械自体がコンパクトですし、撮影した画像や音声はすぐに再生でき、取り直しも容易です。条件を変えて何枚とっても、お金がかかるわけでもありません。何しろ最近のお母さんのポケットかバッグには必ず入っているのが強みです。保護者の撮影したけいれんの動画から速やかに診断につながったケースもありますので、文明の利器をご自身のお子さんの診療に役立てることも考えてみてください。

(川崎康寛)

 

 小児科とのつきあい方   投稿日:2006/09/01