重度障がい児・者のマスク着用について(注意喚起)

 

 国内で、新型コロナウイルス感染予防のためにマスクを着用していた25歳の重度障がい者の方が、デイサービスへの送迎バスの中で口腔内に唾液が貯留してチアノーゼをきたし、救急隊到着直後に呼吸停止に至ったという事例がありました. 蘇生後に基幹病院に搬送されたとのことです. マスク着用のために口腔内の分泌物や顔色などの観察ができず、窒息状態に気づかれなかった可能性があります.
 日本小児神経学会社会活動・広報委員会から公開された「特別支援学校等での医療的ケアなどにかかわる新型コロナウイルス感染(COVID-19)防止対策について(2020年6月18日)」では、「児童生徒のマスク装着は可能な範囲で勧められる. マスク着用には異食・嘔吐時の気道閉塞のリスクが増す可能性があり、必要時見守り等の安全面の配慮が必要である.」と記載されています。新型コロナウイルス対策による二次被害を出さないように、適切な対応を心掛ける必要があります.
 このような注意は小児科医だけでなく、在宅医や訪問看護ステーション、デイサービス、学校関係、一般の方々にもお伝えする必要があると考えます. ご家族にも、重症児・者にはリスクもあるのでマスクは必須ではないし、どうしても周囲の目が気になってマスクをする際にはこまめに観察を行うようにとアドバイスしていただけたらと思います.

(病診連携部会障害児問題検討委員会)

この記事は大阪小児科医会ISOP 300号(2020/12/18発行)に掲載されています。
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 未分類   投稿日:2020/12/18