ぎょう虫症

 

cc206 毎年保育所や幼稚園、小学校では夏のプールが始まる前にぎょう虫の検査を行います。ぎょう虫の感染は今でも珍しいことではなく、毎年小児科には検査の結果ぎょう虫卵陽性のお手紙を渡された子どもさんが何人も来院します。ぎょう虫はヒトだけに寄生し、虫体は糸状で10㎜前後の大きさです。成虫はヒトの大腸(盲腸付近)に寄生していますが、メス虫は子宮内に卵が充満すると夜間腸を下行して肛門外にはい出し、約1時間に1万個の卵を肛門周囲に産み付けます。産卵の終わったメス虫はそこで死滅します。この際肛門の周囲が痒くなり、そこを手でひっかくことにより虫卵が手指に付着し、経口感染のもとになります。また下着やシーツから虫卵が室内にばらまかれ、家族内感染や集団感染を引き起こすことになります。経口感染した虫卵は腸管内に入り成虫となり大腸に達し、以後同様のサイクルで感染が持続します。ぎょう虫症の症状としては虫垂炎、腹膜炎などもまれにありますが、それらよりも産卵時の痒みによる睡眠障害や注意力の低下、肛門周囲の皮膚炎などが問題になります。ぎょう虫症は虫卵を検出することで診断し、現在最も広く用いられているのはセロハンテープ法です。朝起床時排便前に肛門に検査用紙を強く密着させてからはがすようにします。産卵は必ずしも毎日行われるとは限らないため、2ないし3日連続で行います。幼児の場合、お母さんが便の表面に糸状の成虫をみつけてこられる時もあります。治療は駆虫薬を内服しますが、効果は高く、副作用はほとんどみられません。ぎょう虫症は家族内感染がおこりやすいので、家族に虫卵陽性者がでた場合は、当人だけでなく、家族全員の駆虫薬内服がすすめられます。予防は特殊なものはなく、手洗い、下着・シーツの交換、床の清掃、寝具の日光消毒が大切です。

(板金康子)

 

 感染症, 消化器   投稿日:2006/09/01