アスベスト(石綿)と健康被害

 

cc176 アスベスト(石綿)による健康被害が社会問題化して久しくなりますが、未解決の課題も少ないとは言えないようです。

 1987年に、「5社のベビーパウダー5製品にアスベストが含まれている」という事実が判明し、パニックに陥ったお母さんも出ました。ベビーパウダーの原料であるタルク(滑石)に少量のアスベストが混入していた事実が判明、商品の販売中止と回収が行われて騒動は沈静化し、その後の製品には混入はないとされています。2008年には、ベビーパウダーを人工ルビーの加工用に使用していた職場で発生した中皮腫患者に対して労災認定が下りた事実もあります。

 最近になって、「当時ベビーパウダーを使用していた人の中に被害者が出る恐れもある」ことを懸念したアスベスト関連疾患の患者と家族の会が、商品名や含まれていたアスベストの量を明らかにするよう、厚生労働省に申し入れるという事態が持ち上がりました。

 アスベスト健康被害は当初、建造物の防燃断熱材やブレーキパッドなどアスベストを扱う工場の従業員の問題と考えられがちでしたが、2005年に尼崎市の工場を中心に、元従業員やその家族、周辺住民のうち約80人が悪性中皮腫や肺がんで死亡していた事実が表面化してからは、単なる労働環境の問題としてだけで片付けられるような性格のものではなくなっています。2004年にはアスベストの使用が原則全面禁止となりました。さらに、阪神淡路大震災、東日本大震災での建造物の崩壊によって発生した大量の粉塵中のアスベストが及ぼす住民や救助隊などに対する影響も無視できなくなっています。

 今後、厚労省は調査方法などを検討した上で、該当商品の使用者の定期的検診や被害の早期発見、情報提供に努めていくものと思われます。

(浜本芳彦)

 

 事故と安全   投稿日:2006/09/01