トピックス−4月の声


「母子手帳」10年ぶりに改定
 − 4月から母子手帳が10年ぶりに大幅に改定されました.-
 母子手帳は、母子保健法に基づき自治体が妊婦に交付することが義務付けられており、昨年9月に設置された「母子健康手帳改正に関する検討会」での報告に沿って改められたのです.経過措置として、6月30日までは一部従来の手帳で、7月からは新しい手帳に完全に切り替えられる予定になっています.序文に、「この手帳を活用して,お母さんとお父さんが一緒になって赤ちゃんの健康・発育に関心を持ちましょう」と新しく書き加えられたように、お父さんの積極的な育児参加が謳われ,「育児休業」欄に父親の取得期間を書き込めるようにしてあります.その他の主な改正点としては、
@ 平成12年度に実施された「乳幼児身体発育調査」の結果に沿ってデータが改められた.身長・体重には個人差があり、「標準」を余り気にしすぎないように指導するために、「乳幼児発育曲線」を簡素化し、グラフに4本記入されていた曲線を外側の97と3パーセンタイルの2本だけにした.
A 1歳と1歳6カ月の記録欄から「断乳」の言葉が消え,1歳を過ぎても無理に母乳を止めさせる必要はないとの考えが示されている.
B 虐待の増加が社会問題化する中、「保護者の記録」の欄に「子育てについて困難を感じることはありますか」など、子育て状況の質問が追加された.
C 妊婦の喫煙や周囲の間接喫煙、お酒の害について警告が記載された.
D 予防接種が94年から任意接種になって接種率が低下したため、それを補うように、1歳6カ月と3歳における健康審査の時に接種確認欄が設けられた.
E その他、新生児や6か月以下の赤ちゃんを強く揺さぶって脳出血を生じさせる「揺さぶられっ子症候群」に対する警鐘や、お産の前に小児科医への紹介と指導を受ける「プレネイタル・ビジット」に関する記述,テレビやビデオの長時間視聴に対する注意、食習慣や生活リズムの大切さ、チャイルドシート使用の勧め,化学物質の誤飲や中毒への対応等が新たに盛り込まれています.手帳は、改定のたびに内容が豊富になっていくようですが、基本的理念が明確になっているとも言えません.色々なことが載っている方がいいのでしょうが、余り欲張りすぎて辞書のような厚さになったのではかえって実用的ではなくなるでしょう.健康状態の覚え書きとしての利用や、診察や保健指導などのたびに医師の記入を受けて健康記録として活用するように勧められてはいるのですが、現実をみると、十分に利用されているともいえないようです.日ごろからこまめに書き入れる習慣をつけて、活用することが何よりも大切ではないでしょうか.

ジェンダーフリー、あなたはどう思いますか? 
 文部科学省の委嘱を受け、日本女性学習財団が作製した「新子育て支援・未来を育てる基本のき」というパンフレットの中で、男女の「らしさ」に縛られた子育てを批判した内容が物議をかもしているそうです(4月14日付け産経新聞).この「らしさ」を押しつける例として槍玉に挙げられたのは、女の子に愛らしい名前を、男の子に強そうな名前を付けること、女の子のひな祭りや男の子の鯉のぼり、女の子に人形を男の子にグローブをプレゼントすることなどです.これに対して、日本の伝統的な男女観や文化まで否定するものだ、過ぎたるは及ばざるが如しとばかりに首をかしげる人が相次ぎ、波紋が広がっていると報道されています.生物学的な性差をセックスというのに対して,社会的・文化的な性差をジェンダーと言います.「男らしさ」、「女らしさ」の行動基準や、性別の役割は必ずしも生物学的基盤に基づいたものではなく、性別の社会規範も、時代とともに変化して当然と考えられています.日本の社会は、このジェンダー意識が余りにも強く固定的なために、子育てや家庭における仕事が女性に一方的に押しつけられ、その負担が少子化の要因の一つになっているのではないかといった懸念が残ります.このような風潮を意識してか、十数年前から幼児教育テレビや絵本に「脱ジェンダー」の波が押し寄せ、男らしさ・女らしさを押しつけることが避けられるようになってきました. しかし,幼児ですら明瞭な性差はでるもので、自然な性差は厳然として存在すると考える専門家や幼児教育者は少なくありません.子どもたちの遊び一つ取り上げても、女子では以前と変化が余りないのに,男子では遊び集団が小型になり、遊び友達を持たないか(孤立児)、持っていてもその人数が少なく、しかも関係が薄いという特徴が目立ってきたと報告されています.先日行われた大阪市教委のアンケート調査では、男の子には虫捕りや基地遊びを、女の子にはままごとや塗り絵をしてほしいと思っている親が多いという結果が示されています.保護者のこういった固定観念だけでなく,子どもたち自身が選ぶ遊びも男女でまったく異なっており、年齢を経るごとにその傾向が大きくなることも示されています.市教委では、性別にこだわらない遊びを薦める「0歳からのジェンダー教育推進事業」を実施しており、大人が性別でおもちゃを限定することによって多様な遊びに触れる機会が奪われかねず、少子化ゆえに子どもへの意識が固定的になりがちな傾向に警鐘を鳴らして、大人の意識変革を求めていこうとしています.性差の押しつけと解消の兼ね合いを求めて、しばらくは試行錯誤を繰り返すことになるのでしょうが、ジェンダーフリー、是か非か、皆さんはどう思われますか.

「ゆとり」と「学力低下」のはざまで揺れ動く週5日制
 4月から学校完全週5日制と新学習指導要領による教育が始まりました.1977年に旧文部省が打ち出した改訂学習指導要領の「ゆとりと充実」から四半世紀、2002年は、わが国の教育史上、画期的な年になるでしょう.知識重視の詰め込み教育か、子どもたちの自主性を尊重する「総合的な学習の時間」が編み出す「生きる力」か、学力低下を懸念する学力論争が沸騰するなか、1996年の中教審が打ち出した「生きる力」の教育、新指導要領が実施に移されることになったのです.学習内容は基礎基本に絞って大幅に削減されるため、子どもたちの学力低下が心配されるところですが、理解度が増せば学力は向上するというのが新指導要領の理念なんだそうです.しかし、計算など基礎の反復が最も脳を活性化させ、行動を抑制する機能の源である前頭葉を刺激してキレる子の増加を防ぐとする専門家は、「ゆとり」というものに疑問を投げかけています.事実、各種の調査は、子どもたちの学力が全般的に大きく低下し、公私格差が拡大している事実を示していますが、文科省は「学力が低下することはない」として対立.98年に行われた全国国立大学の調査でも、半数以上の学部長が学力低下を認めており、学力低下が小中学生にとどまらない実態が示されました.小学生では、算数の低下が特に著しく、塾に通っている子どもと、そうでない子どもの実力格差が拡大して二極分化が進んでいる実態を前にして、公教育のあり方が厳しく問われるようになりました.中学生の通塾率は約5割だそうですが、塾に通っていない生徒の基礎学力、特に数学の学力低下とともに、塾に行けば万全とも言えない状況が生まれつつあることが危惧されています.国語も長文読解と文法を中心に落ち込みが激しく、国の文化と直接かかわりの深い国語の学力低下は、ほかの教科とは別の次元で捉えるべきだという厳しい意見もみられます.「新しい学力観」をめぐる綱引きが激化する中、公立離れや新指導要領への批判をかわすためか、文部科学省は1月に「学びのすすめ」を出して宿題や補修を奨励するなど、「ゆとりの教育」の見直しとも取れる修正を図ろうとしたあたりから話がややこしくなってきたようです.文科省は週休2日制と言わずに、土曜日は「学校では味わいにくい活動の機会」として公民館を開放したり、地域を基盤とした異年齢の集団活動、体験学習、スポーツなどの「受け皿」作りを進めています.学童保育の充実が望まれるところですが、全国的には約3割の学童保育所が土曜閉所を決めており、土曜日にも出勤せねばならぬ母親にとっては、誰が子どもの世話をするか頭痛の種となることでしょう.


食品のアレルギー原因物質表示 完全義務化
 食物アレルギーを持つ人が、全人口の約10%に及ぶ程までに増えつつあります.そこで、卵や牛乳などアレルギー反応を引き起こしかねない物質が含まれる加工食品や食品添加物には、その原材料を表示することが4月から義務づけられたのです.昨年4月の食品衛生法の施行規則改正に伴い、1年間の猶予期間を経て、今年4月1日以降に製造、加工、輸入されたものを対象として運用されることになりました.卵、牛乳・乳製品、小麦、そば、落花生の5品目は表示を義務付け、あわび、イカ、エビ、大豆、鶏肉、ゼラチンなど19品目は表示推奨にとどめられたため、含有量とか使用個所も分からず、どこまで表示するかはメーカー次第ということになっています.しかし、原材料によっては微量の食品添加物が含まれているにもかかわらず表示がなかったり、担当者ですらその事実を知らないケースもあるうえ、店内で製造・加工している外食店や対面販売の小売店などは、情報を得られるからという理由で対象外になっています.疑いの強い食べ物がある場合には、医療機関でアレルゲン(アレルギーの原因となる物質)の検査を受けて、確かめるようにされるといいでしょう.


BCG再接種廃止へ
 小中学校で実施されているBCGの「再接種」が廃止されることになりました.現在BCGは、1951年に制定された結核予防法に基づいて実施されていますが、4歳以下、小学1年生、中学1年生を対象に、ツベルクリン反応陰性の児童に接種されています.しかし、再接種の有効性に根拠がなく、WHOなどの廃止勧告に従って厚生労働省審議会の結核部会が決定したものです.(3月20日、各紙夕刊)1回目のBCG接種については、「重症の結核を防ぐのに有効」として継続されることになっているので、乳児期の接種を徹底することが大切でしょう.ツベルクリンについても、小中1年生は廃止で合意、生後6カ月まではツ反をせずに直接BCG接種を、6カ月から3歳までは今後に検討するという方針となりました.


どういう病気が流行っているのでしょう?
 4月末の第17週に報告の最も多かった感染症は感染性胃腸炎で、次いで水痘(水ぼうそう)、A群溶連菌咽頭炎、突発性発疹、流行性耳下腺炎(おたふくかぜ)の順となっています.昨年同期と比較すると、流行性耳下腺炎がやや少なめという以外は大差なく、目立った流行もみられず、比較的落ち着いた季節にあるといってよいでしょう.しかし、はしか(麻疹)や流行性耳下腺炎はこれからが流行期に当たり、特に麻疹については、一昨年は第20週を中心に大流行したこともあって注意が必要です.1歳を過ぎた子どもは早めに予防接種を受けるようにして頂きたいと思います.
( 住之江区:浜本芳彦 )