『成長痛』について


 『成長痛』という病名は、小児期の特に夜間に起こる原因不明の下肢の痛みに対して用いられます.かつては、急激な成長に伴う成長線への負荷による痛みとされていた時期もありましたが、正常な成長過程において激しい痛みを伴う成長などは存在しないとされ、現在、この説は否定されています.従って、この『成長痛』という名称は、不適切であるという説もあります.
 まず症状は、日中、痛みもなく、元気に走り回っている子どもが、夕方から夜になると特に膝周辺の痛みを約30分〜1時間程度訴え、大声で泣くぐらい痛がる時もあります.ところが、翌朝になるとケロッとして、元気に走り回っているのが特徴です.また、痛みの部位が変わったり、痛みの部位を忘れたりする事もあります.しかし、関節が動きにくかったり、腫れたり、熱をもったりすることはありません.
 部位は、最も多いのが膝関節周辺で、次にふくらはぎ、足首、太もも、足の付け根などです.ただ、膝関節周辺に多い理由は、まだはっきりと判っていません.
 好発年齢は、2〜7歳の子どもに多く、男児では5歳、女児では4歳にピークがあります.
 原因については、まだ、はっきりした事はわかりませんが、情緒面で不安定な、又、活動性が非常に高いこの時期において、子どもたちの単なる疲労が、特に神経質な子どもの場合には精神的な面でさらに増幅され、激しい痛みとして表現されると考えられます.成長痛を訴える子どもたちに対するある統計では、母親はわりと神経質な性格で、それに対して父親はのんきであるという傾向が示されています.従って成長痛の誘因の一つとして、母子関係、特に母親の性格が関与されていると言われ、過干渉の親のもとで神経質になった子どもに多いようです.さらに、弟ができた、母親が仕事を始めたなどの家庭環境の変化で起こる事もあります.              
 治療法は特別なものは無く、成長痛は、自然治癒する良性の症状であり、日中の活発な活動による下肢の疲労現象を、精神的な面で親に主張しているという事を家族がよく理解する事です.そして、精神的な要因が大きいからといって放置するのではなく、スキンシップを目的に痛がる部位をさするか、場合によっては、痛みを訴える部位に軟膏などを塗って、さすってあげ、子供を安心させる事が大切です.ただ、再三起こるようであれば、子供を取り巻く人間環境を改善していかなければならないこともあります.
 最後に、もし、長期に痛みが続くようであれば、いろいろな病気と鑑別するために、必要に応じてX線検査、血液検査などを行わなければなりませんので、小児科かかりつけ医に相談するか、整形外科を受診して下さい.
(特別寄稿 阪本邦雄)